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夢と現と幻と

心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくる

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健康食品

活性酸素をグーグルで検索すると約 2,640,000 件がヒットする(2007.7.16現在).
そして大半が,活性酸素は悪者であるという前提である.活性酸素は癌などの病気の元であり,サプリメントや食事で抑えなくてはいけないという話が掲載されており,抗酸化物質になりそうなものの販売のページになっている.

本当なのか?

確かに病気の時には,抗酸化剤が有効な時もある.最近では,脳梗塞の時など,呼吸不全に陥った脳組織に発生するラジカルを消去するための薬が使われるようになっている

これは,脳梗塞や脳梗塞周辺部分に発生するラジカルを消去することで,脳梗塞時に発生する悪循環を絶つ薬である.しかしこれは,特殊な場合かもしれない.

癌や腫瘍の発生に関して,活性酸素がDNA(遺伝子)に傷を付け,これが悪性新生物の原因の一つになっていることは,通説であり,私もこのことは部分的には正しいと思っている.しかし,悪性新生物の原因はこれだけではないし,原因は他にあることも多い.

体の中の免疫系細胞が,侵入してくるバクテリアを殺したり,癌と戦うために活性酸素が用いられていることを考えると,やたらと活性酸素を悪者と考える事は理論的とはいえない.
老化の原因が活性酸素であるとする説があるが,これについても,活性酸素の果たす役割がどれほどの大きさなのか分かっていないのではないか.
現在地上に生存する大方の生物は,光合成で作られる炭水化物や,それをエネルギーとして合成される脂質,タンパク質を用いて生きている.これらの物質の持つ化学エネルギーを使うためには酸素が必要な訳で,体内で酸化反応が起こるときには活性酸素やフリーラジカルが多少なりとも発生することは避けられない.そのため酸素呼吸を行なう生き物は,その生物が酸素を利用するようになって以来,活性酸素除去のための強力な仕組みを作り上げてきている.
生物の持つ,この抗酸化システムの力を100としたとき,様々なサプリメントや化粧品の類,ひいては還元力があるとする水など,どの程度の役割を演じているのであろうか.

私は,自分の患者さんが,「**という健康食品が身体に良いと聞いたのだけれども,どうですか?」と尋ねてきた時,困ってしまう.
鰯の頭も信心から,という言葉がある.彼らにとって,信じることで救われる場合があるのかもしれない.高額な商品を使用して,「やるべき事はやった」と本人や家族が納得するのかもしれない.しかし,あまりにも荒唐無稽な(私の知識に照らして,であるが)理論で,詐欺的な販売を行っている商品を知ると,こんな事が許されて良いのか,と感じることがある.おまけに高額である.そして,そのようなものの販売には,「何とか先生(医学博士)」などがかかわっていたりする.良く調べると,医学的には異端の医師であったりする.「何とかかんとか医学雑誌に掲載」とあるので,その雑誌を調べると,そんな雑誌は無かったり,小さなグループ(仲間たち)が発行している個人出版物の類だったりする.勿論,現在異端であっても後世評価されるような人物や学説があるかもしれないのだが,そのようなものは極めて希であることを認識しなくてはいけない.

私は,ビタミン剤などのサプリメントを全て否定しているのではない.必要なものがあるかもしれない.私もビタミン剤やDHA,コエンザイムQは自分でも飲んだりする.
先ほどの活性酸素に関係する抗酸化ビタミンA、C、E等は,機能性食品の表示があり,製造元,販売元がしっかりしている会社のものならば良いと思っている.

健康食品は玉石混交であることを理解して利用したい.
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