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夢と現と幻と

心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくる

お金 貨幣の事②

17世紀のイギリスで,金匠(金の細工をする職業)が金を受け取ると,同等の金と引き換える事を記した証書(約束手形)を出していた.これがゴールドスミス・ノートといわれている.ゴールドスミスとはロンドンの金細工師で,両替商も営み,貨幣,貴金属の保管や貸し金も行っていた.当初は,振出した手形と,金庫の中の金の量は一致していた.

この手形の行方を見ていこう.手形の持ち主は,金が必要になったり,何か買ったりしたい時が出てくる.この手形の価値を皆が知り,信用されるようになると,この手形を換金せずにそのまま受け取って貰えるようになる.つまり,兌換紙幣として利用されるようになったわけである.こうなってくると,自宅に沢山の金を持っている人は,重たい金は常に持ち運ぶには重く,また,金庫がなければ,盗まれるかもしれないので,ゴールドスミス・ノートに替えて,現物の代わりに手形を持ち歩くようになった子かもしれない.後にイングランド銀行が銀行券(紙幣)を発行することになるが,これはゴールドスミス・ノートがもとになっているとされる.

それでは,手形を振出したゴールドスミスの方を見てみよう.当初は,振出した手形と,金庫の中の金の量は一致していたはずだが,お金を借りたい人がやってくると,利息を取って貸し出しを行うようになる.すると金庫の中に入っている金の量は,振出した手形の金額よりも少なくなってしまう.しかし,やっている事は現在の銀行と同じ事である.
これらの事の起こりは,生じた事象が先であり,法的な貨幣としての資格が決められる前に発生していることが興味深く,重要である.
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