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夢と現と幻と

心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくる

今後の日本の生きる道

TPPに売国奴が参加表明したらしい.USA側では,日本の参加表明と認識するのが普通であろう.
この道は,引き返せないものになった.野田総理は,歴史に名を刻んだのである.ただし,日本を危機に陥れた張本人として.そして,民主党の所行は日本史に大きな傷として記載されることになると思われる.

我々は,この後,如何になすべきか.考えなくてはならない.日本の官僚に優秀な人物がどのくらい残っているのであろうか.日本の大企業に如何ほどの愛国者がいるのであろうか.

グローバリズムは,世界のポテンシャルを人為的に平均化することである.ヨーロッパのEUでもそうであるが,通貨を統合したとき,それまで為替相場と関税でバランスをとっていた各国の貿易収支(経常収支でもよいが)が大きく偏ってしまった.このようなとき,国であれば,国内への補助金などにより所得税,消費税の再配分を行うため,国内の格差が緩和できる.しかし,EU内では,ドイツが,ギリシャやイタリアに富の再配分を行うシステムがないため,劣位の経済国は常に赤字が蓄積され,破綻してしまう.

さてTPPはどうか.関税をなくし,人と物とシステムの流通が統一されるが,それにより大きなメリットを受けるのは,USAである.全ての他の国は,USAに搾取されるが,その富を他国に灌流する仕組みはない.
食糧危機が来たとき,同じ国内であれば,融通するが,国家間では,自国に不足している時,他国に食糧を送ることはない.ましてや,今回のTPPで肥え太るのは,国際金融資本たる大企業である.そこに働く人々に富が再配分されるとは限らない.現在の趨勢は,再配分されない,と考えることを妥当とする.

富の集中(収奪)という力が働くとき,再配分のシステムがない場合,大変不幸な状況が生じるはずである.
当面の間,日本や他のTPP参加国は,これまでの蓄積で赤字を補填するような状況があるが,その後はその差が大きくなるであろう.為替相場が多少の緩和をしてくれるだろうが,円は徐々に安くなるはずである.
そして,USA以外の参加国は,虐げられた状況に追い込まれていくだろう.

USAは,収奪の富を使って,中国と戦いを始めるに違いない.極東の我々は,国境の防人の役目を担わされるが,USAの議会に参加できるわけでもないので,中央(USAパートナーシップの親分)に意見は通らないのである.

今後我々がやるべき事は,集団的自衛権を取り戻し,国家としての自由度を上げることである.
さもなくば,我々はローマにとってのシチリアである.カルタゴと戦うための橋頭堡である.属州として税を納め,文句を言うとローマ軍がやってくるわけだ.
軍団兵はローマ市民である.我々は,ローマ軍団兵としては扱われず,ローマ支援軍として20年の兵役を勤め,ローマのために戦わされる.
だが,いっそ,カルタゴに付いてしまおう,というのでは,滅びの選択である.
非常に難しい状況になる.

願わくば,優秀な官僚と卓抜の政治家を求めたいところであるが,B級市民の多くが民主党を勝たせてしまうような日本,官僚たたきをすれば,鬱憤が晴れる浅はかな国民が大多数になり果てた日本に,このような希望が残っているのか心もとない.

松下幸之助は,国家,企業,家庭の全てが,独立した個として機能し,社会のために行動することが必要であると唱えていた.彼の志は崇高であったかもしれないが,その生み出した政治家は,売国奴の集団である.歴史とは皮肉なものである.彼が愛情を注ぎ育てた企業は,ナショナルというブランドの時は尊敬の念を以て認められたが,パナソニックとなってからは,愛国的といえるのだろうか.日本を捨てて,海外に本社を移す,というのはどういうことだろうか

このように,グローバリゼーションは,企業を国民から引きはがし,超国家生命体のように動き始める.国家の統制を離れ,自立的に思考し,行動する.このような集合体が国際金融資本を形成していく.それは,国民のための行動をとらなくなる.資本主義が誕生して,間近の頃,資本家は労働者を搾取していたが,それでは企業のブランドイメージが悪化するため,社会貢献や環境破壊を抑制する方向にベクトルが働くようになった.
しかし今,企業が巨大化し,多国籍化していく中で,彼らは,出自の国を離れ,自由を手にしつつある.
これから,資本主義が,更に発展するか,進化の袋小路にはまり込み,恐竜のように,我が世の春を謳歌した後,滅び去るのか,第2ステージが始まったところである.

私は,その先を見るほど長生きできないと思われるが,少なくとも,子供たちが幸せに暮らせる世の中であって欲しい.

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