忍者ブログ

夢と現と幻と

心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくる

国家存亡の時 アメリカの隠謀

ここに来て,アメリカ合衆国のなりふり構わぬジャイアン主義(ドラえもんに出てくるジャイアン)が明らかになっている.環太平洋パートナーシップなどと言うものが提起されている.
アメリカの戦略は少し考えれば分かりそうなものである.米国は毎年,年次改革要望書なるものを日本につきつけてきたが,”毎年,毎年協議するのは面倒だ.ここらで一括,今後未来永劫に,かつ効果的に,有無を言わさず,確実に,日本の社会システムをアメリカに有利になるような取り決めをしてしまおう”,と言うことである.

これに参加したらどんな酷い目に遭うか考えてみたい.
まず,工業製品の輸出であるが,米国に輸出するための関税は既に十分低く,為替変動の誤差に吸収されるくらいしか存在していないから,日本から米国への輸出は増えることは無いであろう.農産物は日本の輸入が増えるであろう.このくらいのことはすぐ予想されるが,だからといって,工業製品を作るメーカーと第一次産業の農林水産業の問題であると考えるだけでは不十分である.

金融,電気通信,電子取引のルールが米国に有利なように変更されるであろう.バブル崩壊後に日本の銀行に対して,資産査定を厳格にすることを要求し,いくつもの金融機関を破綻させ,二束三文で外資が買い取った事実を忘れてはいけない.今回のリーマンショック後,米国は自国の金融機関を守るために,以前日本に要求したこととは全く逆の事をしたではないか.彼らは,自分たちの都合の良いように決まり事を変えるのである.

たぶん,日本からの工業輸出品にアメリカの基準を無理矢理適応させ,日本国内の流通品にもアメリカの基準を要求し始めるであろう.JIS規格は廃止されるであろう.アメリカに輸出するには,製品製造や中身にアメリカの基準に違反していない事を証明させるような仕組みを要求し,日本製品のノウハウを開示しなければ,輸出できないような状況を作り出すかもしれない.返って,日本からの工業製品の輸出は減る可能性がある.

郵便事業や郵貯は解体される可能性がある.UPSやフェデックスが入って来れないのは,問題だと日本の法律を変えさせられる可能性が大きい.
アメリカの生命保険や健康保険の会社が日本で稼げないのは,日本の国内法律に問題がある,と言い出すかもしれない.生命保険や損害保険会社は,資本が大きく,世界的に営業している会社でなくてはならない,とか言い出すかもしれない.日本の生保は,つぶされる.

国民の健康を守る健康保険制度は,アメリカの営利目的の健康保険会社が参入する障壁になっているから,解体すべきだ,と必ず言い出すと思われる.日本国民は,健康保険を失い,アメリカの高い保険を買わなければ,病気にもなれない.日本国民の多くが知らないが,日本の国民が享受している医療システムは,世界中がうらやましがるものである.それを壊して,アメリカの保険会社が儲けられるようにすることが,アメリカの大きな目標のひとつであろう.
日本の政府が決めている薬価は根拠がないから,世界的に通用するアメリカ基準にすべきだと,これまた必ず要求すると思われる.海外の巨大製薬会社が特許を持っている薬は高くなる.おまけに国民健康保険は無くなるから,日本人の平均寿命は短くなる.

公共事業の発注は,全て,英語の見積書を準備すべきであり,日本語と英語の内容に齟齬があった場合は,英語の方を正式なものと見なす,などと言われれば,中小の土建屋や建設会社はつぶれるだろう.
役所も見積書を確認するのに英語が必要になり,そのための人員を英語圏から雇うことになる.日本人の役人は,数を減らされ,給与が下がり,アメリカ人が役所に入り込む.それでも,公共工事が政府の予定通り行かない場合がある.そんな裁判を行う場合も,相手が外国の会社の場合には,英語で文書を準備する事を要求され,泣き寝入りとなりそうである.

特許や商標は,日米にコンフリクトがある場合は,アメリカのものを優先するということにもなりそうである.日本人は,特許を出願するにも,まず,アメリカに出願する必要が出てくる.アメリカで特許登録が却下されれば,公知の事実として,日本国内特許はとれない事になるとか...

国内の水道や衛生の基準もアメリカ基準にしなくてはならない.食品の安全基準も国内の厳しい基準は,国際条約に反するので,効力を失う.BSEも関係ない.アメリカ人が食している牛肉は安全なのだから,輸入禁止は,条約違反である.遺伝子組み替え食品も拒んではならない.

アメリカの弁護士が日本で活躍できないのは,日本の裁判が日本語で行われるからである.重要な訴訟書類は国際公用語である英語を使用すべきである.もちろん,アメリカの弁護士資格を,日本の国家資格と同等に扱わなければならない.
ついでに言うと,医師や看護師も米国の資格は,日本国内で通用すべきである.
日本の国家資格を持つものが,アメリカで働くためには,アメリカ(州の資格)を取る必要がある,とか,十分な英語能力が必要であるとか,条件をつけることは,忘れないだろう.

出版の世界では,アマゾンが既に要求している.一方的でジャイアン的な要求だ.これと同じ事があらゆる分野で生じるのである.

ついでに,売国テレビ局や新聞について申し述べておくとテレビ局などの外国人持ち株制限は,参入障壁と見なされるから,廃止に追い込まれ,世界的なメディア王が買収するだろう.半島系のよいしょ番組は無くなるだろう.このことに漸くテレビ局も気づいたと見えて,フジテレビがTPP反対の京大大学院准教授の中野剛志氏をテレビに出演させたりしている.

さて,アメリカの目論むTPPはどうなることか.ここで,アメリカに押し切られれば,アメリカの覇権はもうしばらく続きそうである.しかし,日本が参加せず,諸外国がアメリカのやり方にそっぽを向けば,田中宇氏がよく言う,”アメリカのやり過ぎて返って失敗”ということになり,アメリカの没落は早まるだろう.



PR